私が目指す「美しい住宅」とは、建物としての基本性能を満たしていることがまず絶対条件です。通気性や採光性、断熱性、バリアフリー対策など暮らしの快適機能を十分に備えながら「端正な美」を追求します。
基本性能をきっちり満たすと退屈なプランになりがちですが、常識にとらわれず、柔軟に考えれば、斬新なプランに昇華にさせることができます。
洋風の和室。なんだか矛盾していますが、この矛盾こそが逆転の発想です。装飾材として用いられる長押(なげし)など、伝統工法によって作られる和室は、本来、その家の格式を象徴するものであり、それに見合った材料や職人の技があってこそ成立するものです。正直、現代のモダンな小住宅に、そのような形式ばった和室はミスマッチ。実生活に則していないし、費用的にも無理がある。とはいえ、日本人は畳があるとホッとするし、その上でゴロッとする習慣があります。将来、仏間を考える必要もあるでしょう。
私が以前手がけた鉄骨3階建て住宅では、和室をLDKの一角に設けました。手の込んだ伝統工法を一切使わず、壁は壁紙で他の部屋と統一させ、照明は天井埋め込みのダウンライト。畳は、沖縄畳のような縁のないタイプとし、スッキリとした印象に。はやい話、和洋折衷です。このスタイル、巷では「和風モダン」と呼ばれて注目されていますが、僕はさらに大胆な手法を盛り込みました。それは間仕切りの撤去です。 |