住宅はそこに暮らす人の希望を優先し、住む人が快適と思える空間を作るのに対し、店舗は「自分の店」というオーナーの夢を叶えるのと同時に、集客力と売上に響くところも計算しなくてはなりません。商品の陳列、席の配置、客の動線、装飾など、微妙なレイアウトが売上に影響しますから、結構プレッシャーだったりします。しかも店舗づくりの期間は短いことが通例で、そこに開店日が明確に決まってしまうと、もう大変。徹夜になることもあるわけです。まぁ、住宅に比べて使える素材や色、デザインの自由度が高いので、その分、面白味はいっぱいあります。店舗と住宅。デザインの違いで最も顕著なのは外観です。店舗は、個性的かつ人目を引くデザインにしますが、だからといって単純に派手にすればいいっていうものじゃない。お店の内容とバランスが取れていることが前提です。
飲食店を例に挙げると、お客さんは当然食事を目当てにやってきます。でも、初めてのお店だと料理が一体どんなものかは分からない。ひと昔前なら、いかにも「洋食屋」、いかにも「中華料理店」といった具合に分かりやすいお店ばかりでしたが、最近は枠にとらわれない斬新なイメージのお店が増え、一体どんな料理を出してくれるのかイマイチ分かりにくい。言い換えれば、お客さんの興味はお店に入る前から始まっているのです。
お客さんには、まず外観で期待感を抱いてもらい、インテリアとメニューでさらにそれを膨らませ、そして美味しい料理で期待以上の満足感に浸ってもらう。そんなストーリーを描きながら僕はプランを立てていきます。特にお店の外観やエントランスは、お客さんに期待感を持ってもらう最初のステップだからこそ、ワクワクさせるような工夫が必要になるのです。 |