食器棚や書棚など収納目的の家具は、大きく2つの種類に分かれます。1つは家具屋さんで既製品を購入して部屋に置いた「置き家具」。もう1つは部屋に合わせて製作した「造作家具(造り付け家具)」。普及しているのは置き家具のほうですが、欧州では造作家具も古くから身近な存在として親しまれており、その流れは近年、日本でもリフォームを機に広がりつつあります。
造作家具が日本で注目されてきた理由は、まず地震に強いことが挙げられます。壁など躯体(建物の構造部分)に固定するので倒れることがなく、設計の仕方によっては壁の補強にもなります。ご存知の方もいると思いますが、震災の死傷原因1位は「家具の転倒」。安全で長く住める家を考える上でも、造作家具は有効なツールになるのです。
そして優れたスペース効率。背の高い置き家具の場合、天井との間がデッドスペースになったり、上面にホコリがたまったりと、何かと不満が生じやすいものです。その点、造作家具ならミリ単位で設計されるので、置く場所に梁が邪魔していても、いびつな空間でも、隙間なくぴったり収めることができ、見た目もスマート。視覚的に部屋を広く感じさせる効果があります。また、収納するものの大きさや量に合わせて設計するので、収納力が高い。そのスペース効率の良さと便利さは、置き家具ではなかなか得られない魅力といえるでしょう。
もちろんデザインの自由度が高いのも魅力の1つで、色、素材、寸法など、すべて自由自在。ここで留意したいのは、壁一面が扉で構成されることが多いので、扉をどのようなデザインにするかで、部屋のイメージが大きく変わってくるということ。壁面収納としての存在感をアピールしたいのか、部屋に馴染ませて目立たないようにしたいのか。そのあたりを良く考えることが大切。壁や床、建具と統一感のあるデザインにすることで、ソファーやイスなどの家具を引き立てることもできます。 |